優しい気持ちは尊重から生まれる相手を敬う気持ちを持って介護に取り組む

高齢者介護における尊厳の正しい解釈とは

要介護状態の高齢者の多くは、老いて自身の思い通りにならない四肢に対する焦りや絶望感と日々向き合っています。
加えて入浴から排泄物の処理に至るまで、第三者の世話にならざるを得ない現実の中、精一杯自身の人格を保とうとする結果、心を閉ざしがちになる傾向が否めません。
しかしながらスムーズな介護を提供するためには、介護する側とされる側双方が心を通わせ、本音で意思疎通できる信頼関係が欠かせません。
だからこそ介護する側は、相手への尊厳とは何であるかを、まずは正しく解釈しておかねばならないのです。
ここで多くの介護する側が陥りがちな過ちとして、相手の機嫌を損ねないよう、腫れ物に触れるかのような距離感で接してしまうケースがあげられます。
人間関係のトラブル回避を優先しようとした結果、よそよそしく事務的な対応と伝わってしまい、高齢者からすれば、自身の尊厳の配慮というよりも、渋々お仕事で介護に当たっているかのような印象を抱き兼ねません。
相手が触れて欲しくない話題を回避するあまり、目線を合わせたさりげない会話までが少なくなってしまう、負の連鎖に陥ってしまうパターンです。
介護における尊厳イコール、相手の現状を正しく理解の上で受け止めた上で、相手が単独でできないことをサポートする姿勢と、そうした思いを表情や言葉で伝える行為に他なりません。
健常者と同じように一人の人間としての人格を自然体で尊重して接するところから、尊厳を無視することのない介護を実践できればベストです。